リーガル・ナビ

最新のリーガルニュースやQ&Aなどを更新していきます。

QA. 株式会社の代表者の住所について

<Question>

日本で株式会社を設立する際に、日本に居住している代表取締役は必要ですか。

 

Answer

 

平成27年3月16日以降、従来の取り扱いが廃止され、代表取締役全員が日本国内に住所を有しない場合でも株式会社の設立登記が認められることになりました。合同会社その他の持分会社なども同様に上記取り扱いとなります。

ただし、外国会社の日本における代表者については、会社法第817条で規定されている住所要件が改正されていないため、従前と同様の取り扱いになります。この住所要件の撤廃について、現在検討が進んでいるようです。

また、有限責任事業組合においては、有限責任事業組合契約に関する法律第3条で組合契約の当事者のうち一人は日本国内に住所を有することが要件とされているため、法改正がない限り、従前と同様の取り扱いになります。法人が当事者となる場合は、法人の代表者までが国内に住所を有することは要件とはなっていません。

 

会社設立の際の実務上の手続きとしては、出資金を払い込む際の銀行口座が問題となります。 出資金を払い込む銀行口座は、発起人またはその委任を受けた設立時代表取締役の銀行口座になりますが、日本にある銀行口座に振り込む必要があるため、実務上どのように対応すべきか検討が必要になります。

対応方法の一例としては、外国法人が日本に内国法人を設立する場合、外国法人がすでに利用している金融機関で日本国内に支社・支店がある銀行に資本金払込保管証明書を発行してもらい対応することもあります。

 

<参考>

法務省:商業登記・株式会社の代表取締役の住所について

平成27年3月16日 
 昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止し,本日以降,代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとします。

会社法 第817条(外国会社の日本における代表者)

(外国会社の日本における代表者)
第八百十七条  外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。
2  外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
3  前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4  外国会社は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

投資促進等ワーキング・グループ 議事次第 - 内閣府

資料3 外国会社の日本における代表者の住所要件について

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/toushi/150323/item3.pdf

 

有限責任事業組合契約に関する法律

第三条  有限責任事業組合契約(以下「組合契約」という。)は、個人又は法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者がそれぞれの出資に係る払込み又は給付の全部を履行することによって、その効力を生ずる。
2  組合契約の当事者のうち一人以上は、国内に住所を有し、若しくは現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人(第三十七条において「居住者」という。)又は国内に本店若しくは主たる事務所を有する法人(同条において「内国法人」という。)でなければならない。
3  組合契約は、不当に債務を免れる目的でこれを濫用してはならない。