裁判情報: 平成27年11月30日知的財産高等裁判所判決 商標権と肉ソムリエ
平成27年11月30日知的財産高等裁判所判決 審決取消請求事件
本願指定役務である「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するた めの肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなど」に関 する資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報 の提供,資格取得に関する知識の教授に係る事業の取引者,需要者には,食 肉の選択や調理等についての専門的知識の修得に関わる食肉業者や一般消費 者などが含まれるところ,前記(2)認定の事実によれば,本願商標を構成す る「肉ソムリエ」の語は,本件審決日当時,かかる取引者,需要者によって, 「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に 認識されるものであったことが認められる。
そして,「資格検定試験の実施」,「資格の認定及び付与」などの役務においては,「資格」の内容は,当該役務の質(内容)を構成するものといえる。
そうすると,本願商標は,本件審決日当時,本願指定役務に使用されたときは,当該「資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関 する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」に係る資格が,「肉(食 肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという本願指定役務の質(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠くものというべきである。
加えて,本願商標は,標準文字で構成されているから,「肉ソムリエ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認められる。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85524
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(参考)
(商標登録の要件)第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標